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朝から優美な鎌倉へ「朝活食体験」

朝から優美な鎌倉へ「朝活食体験」
朝日を浴びて静かにはじまる鎌倉の朝。自然と共存するこの地には、輝くこの時間を大切に味わえる場所がいくつもあります。目覚めの時刻に鎌倉へ、心地よい朝をご一緒しませんか。
 
  1. 先人の知恵を受け継ぐ「蕾の家」
  2. 茶の香りに導かれ、はじまる朝の体験
  3. 季節の旬を知る先付けの器
  4. 幸せ感じる朝茶漬け体験
  5. 旅のキーワードは “朝を大切に”
 

先人の知恵を受け継ぐ「蕾の家」

自然を愛でて味わう。江ノ電「由比ヶ浜」駅近くにある古民家カルチャーハウス「蕾の家」では、その素晴らしさを学べます。涼やかな朝の風がそっと頬を撫でました。ここでは、なんだか時間がゆっくり流れているようです。
 
 

茶の香りに導かれ、はじまる朝の体験

   
「蕾の家」では、日本の四季にあった暮らし方や手仕事、各地の食文化を織り交ぜた「暮らしの知恵を学ぶ文化体験」ができます。朝活をするなら完全予約制の体験メニュー「海とお茶のくらし」を選んで。最初の予約枠は8時半から。早朝の鎌倉を味わうのにぴったりです。
 
          
庭の植物は、その季節の花や実りを教えてくれます。訪れたのは処暑の頃、鳥の鳴き声に混じってセミの鳴き声も聞こえてきました。時にはリスも駆け回るというこの庭を通って、玄関へ向かいます。
 
「ようこそ」と女将が席へ案内してくれました。定員6名までのカウンターは大きな楠木の一枚板、女将の立ち振る舞いがよく似合います。ここに参加人数分の折敷や茶器が並びます。着席はお好みで。
 
 「普段、お茶を召し上がる?」と、一人ひとりを気遣い話しかける女将。複数の産地から取り寄せたという茶葉の説明を聞いたあと、好みの茶葉を選びます。お湯を急須に女将から淹れてもらい、教えてくれるタイミングで茶飲みに注ぐ、これを2煎目まで繰り返し、3煎目は茶漬けにしていただきます。
 
私が選んだのは、花のような香りが特長という狭山の「萎凋(いちょう)茶」。「砂時計が落ちたら飲み頃です。最後の一雫まで注ぎましょう」と、1煎目は低い温度で1分間。茶葉の抽出を待ちながら、お茶を注いだ後の所作を女将から学びます。急須のお尻をポンポンと叩いてね、と気さくな感じが場を和ませてくれました。
 
 

季節の旬を知る先付けの器

熱めに淹れた2煎目は、朝食1品目の先付けと一緒にいただきます。器には3つの旬にしたがって、走りのさつまいも、盛りのピーマン、名残のゴーヤが盛られました。添えられた味噌は自家製、少し甘めで主張控えめ、しかし、それぞれの旬の物のコクを引き出す名脇役です。
 
 朝食2品目は椀物です。「私が死ぬ思いでむいた茄子なのよ」と茶目っ気たっぷりの女将。各地のお母さんから女将が受け継いだ味が、手間をかけた佃煮、味噌、漬物の皿からも伝わってきます。
 
 

幸せ感じる朝茶漬け体験

 
香り立つ椀をいただきながら聞こえてきたのは、ピリピリピリリと土鍋ごはんの炊きあがる音。いよいよ朝食メインの3品目、お茶漬けの時間です。一杯目は茶殻のふりかけでそのままいただきます。この日の銘柄米は山形県産の「つや姫」。粒感、弾力の良さは折り紙付きですが、お茶漬けにも合うのでしょうか……。
 
2杯目はサバの「へしこ」とシソをごはんに乗せ、上からたっぷりお茶を注ぎます。塩辛く保存食として有能な福井県の郷土料理「へしこ」は、3煎目となる薄めのお茶に旨味が染み出して、お茶漬けをメインとしての料理に格上げしてくれる優れ物でした。
 
ごはんはお茶を入れても粒感の輪郭を保ち、見た目で一段と白さの輝きが増したようにも感じます。弾力を残しつつ粒の粘り気が薄まっているのか、お茶とともにかき込むと、するする喉を通ります。なるほど「つや姫」を使った理由に合点がいきました。
 
ささっと美味しいお茶漬けを食べ終わり、時刻を見るとまだ9時過ぎ。今日は1日が長く感じられそうです。
 
 

旅のキーワードは"朝を大切に"

長い行列や活気がある鎌倉も楽しいけれど、次の旅は“朝を大切に”過ごしてみてください。朝露にぬれる木々、小鳥のさえずり、ゆっくりと昇る太陽…。朝を迎えたばかりの鎌倉もとっても素敵です。
 
はじまりが早いと、もちろんその後の時間もたっぷりです。いつも混んでいるお店に行ってみるとか、やってみたかったことにも積極的にチャレンジしてみてください。きっと充実した1日になるはずですよ。
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古民家カルチャーハウス 鎌倉蕾の家
住所:神奈川県鎌倉市長谷2-4-2
アクセス:江ノ島電鉄「由比ガ浜駅」から徒歩3分
 
海とお茶のくらし
・会場:鎌倉蕾の家
・時間:8時30分~17時(完全予約制)
・定休日:水・木曜